登場人物

広子(ひろこ)
右も左も分からぬまま、中小以上大手未満メーカーの広告宣伝部署に 配属となった令嬢。物おじしない男勝りの性格ながら 広告の知識はゼロ。密かに告へ想いを寄せる。

告(つげる)
広告の表も裏も知り尽くした伝説のアドマン。 ブランディングやセールスプロモーションのノウハウに 長けるが、自分の好意を相手に告げるのは苦手。
目次
テレビCMが「スグ」買える時代?
告さん、最近よく聞く“スグリー”ってなんですか?
「見逃し配信」の新ブランドですか?
いい質問だね。
スグリーは配信サービスじゃなくて、地上波テレビCMをオンラインで買って運用できる日テレの広告サービスだよ。
簡単にいうと、テレビCMをネット広告みたいに、インプレッション単位で運用できるプラットフォームなんだ。
え、テレビCMを「オンラインで買える」って、もうその時点で気になります!
一言でいうと、
『テレビCMを、インプレッション単位でプログラマティックに取引できるようにしたサービス』
これがスグリー。だから、「テレビCMをネット広告と同じ感覚で運用したい人向けの入り口」だと考えるとイメージしやすい。
スグリーとは?日テレが始めた「テレビCMの運用型プラットフォーム」
まずは、ざっくり「何ができるサービスか」から教えてください。
ポイントは3つだけ覚えればいい。
・地上波テレビCMをオンラインで発注できる
・取引単位はインプレッション(視聴回数)
・Ad Reach MAXという日テレの広告プラットフォームのフロントエンド
この3点を押さえれば、概要はOK。
その洋画のタイトルのような、“Ad Reach MAX(アドリーチマックス)”って何ですか?
洋画のタイトルではないんだけど…
日テレが進めているテレビ広告のインプレッション取引プラットフォームがAd Reach MAXで、その“入り口の画面”としてスグリーがあるイメージだね。
なるほど!『裏でAd Reach MAXが動いてて、表側に見えている管理画面がスグリー』みたいな構造なんですね。
そうそう。イメージとしては『テレビCM版の広告管理画面』だと思えばOK。
従来のテレビCMと何が違う?一番のポイントは「インプレッション取引」
スグリーの一番の“売り”って、どこなんでしょう?
一番わかりやすいのはこれかな。
『視聴率ベースじゃなく、インプレッション数(出現数)を取引通貨にしている』
ここが従来のテレビCMとの決定的な違いだね。
今までは「PRP何百%で買う」みたいな世界ですよね。確か前に教えてもらったような…
そう。従来は「この時間、この番組に何本流します」っていう枠+本数中心の世界だった。
でもスグリーでは、
・実際に届いたインプレッション数
・そのうちターゲットに届いたインプレッション数
を「お金の単位」として扱う。
だからCPM(1,000impあたりのコスト)比較ができるテレビCMになる。
それって、
『動画広告のメニュー表に“テレビCM(スグリー)”が並ぶ』
みたいな感覚ですね。
まさに!YouTubeやSNS動画と同じ指標で比較できるテレビがスグリー。
だからメディアプランニング的には、「テレビ枠」というより「インプレッションメニュー」として組み込めるのが大きい。
スグリーで何ができる?
①シミュレーションで「いくらでどれだけ届くか」を事前に見える化
ネット広告のように配信シミュレーションが出せたりするんですか?
できるよ。スグリーのシミュレーションでは、
・予算
・期間
・放送時間帯
・ターゲット
を設定すれば、その時点の在庫から想定インプレッション数とCPMを出すことが可能。
この条件で3,000万円だと、ターゲットに1,000万impでCPM3,000円くらい」みたいな数字が事前に分かるってことですか?
そうそう。これを使えば、
『テレビでこのCPMならやる価値あるか?』
をデジタル担当と同じ目線で議論できる。
納得したら、そのまま仮発注→本発注に進めるから、見積もり〜稟議のスピードも上がるんだ。
広告宣伝担当者として、上司を納得させられる材料があるのはありがたいです!
②放送20分前までのクリエイティブ差し替えで「運用型テレビCM」に
でも、CM素材の搬入はテレビみたいに数日前~数週間前までにしておいて…って感じなんですかね?
従来のテレビCMはそうだよね。
・放送枠・素材は放送の数日前〜数週間前に確定
・途中で変えるのはほぼ不可能
だったのが、スグリー経由だと
・放送20分前まで、何度でもクリエイティブ差し替え可
という世界になる。
20分前!?これ、使い方の妄想がかなり膨らみます!
いいね!例えば、
・SNSでバズった商品をすぐテレビでも押し上げる
・欠品した商品のCMを別商品に差し替える
・CM効果の高かったクリエイティブに途中から一本化する
みたいな「運用型」な動きができるようになる。
テレビCMが「打ちっぱなし」から「回して学習するメディア」に近づくわけだ。
③放送15分後から見えるレポートでPDCAをスグ回せる
ここまで来たら、ネット広告と同じくレポートも出せたりして!?
察しの通り、レポートも出せるよ。
レポートで見られるのは主にこのあたり。
・インプレッション数(CMを視聴した延べ人数)
・リーチ人数(CMを視聴したユニークユーザー数)
・フリークエンシー(一人当たりの平均視聴回数)
・CPM(1,000インプレッションあたりのコスト)
・表示番組情報(CMが放送された番組情報や時点情報)
インプレッションとCPMは最短放送15分後に速報値が出て、翌営業日に確定値。
リーチやフリークエンシーも翌営業日に見られる。
レポートを見て、次回出稿する際に色々と見直して計画を立てることができるから、広告効果を高めることができそうね!
そう。例えば特定層へのリーチが不足してることが分かったら、リーチ獲得したいターゲットを指定して、自動入札オークションを追加発注したり、クリエイティブA/Bテストの結果を踏まえ、より効果的なクリエイティブに差替えたり。
このような判断していくのがスグリー流のPDCAだ。
スグリーの2つのCM購入方法
じゃあ、実際にスグリーでCM出稿したいとなったらどうすればいいのかしら?
商品としては「インプレッション予約」と「自動入札オークション」の2種類用意されているから、目的に合わせて選ぶと良い。
①インプレッション予約──安定的にリーチを取りたいとき
まずは「インプレッション予約」とはどんなものかしら?
『ターゲットや時間帯などの条件を決めて、契約したインプレッション数を自動で取りにいく商品』だと思うと分かりやすい。
たとえば
・予算:3,000万円
・期間:1月1日~1月4日
・ターゲット:男性25歳~44歳
・インプレッション数:1,000万imp
みたいな形で契約して、システム側が自動で枠を運用してくれる、と。
そう。そしてポイントは、
・前日15時までの発注で最短翌日放送開始(直前発注OK)
・入力条件でいつでも価格シミュレーションできる
・契約インプレッションを達成するように日ごとに枠取りを最適化
・指定ターゲット以外のインプレッションは課金対象外
っていう「安定性+効率性」のバランスが取れているところ。
ブランドキャンペーンとか、ある程度まとまったリーチを取りに行きたい案件に合いそうですね!
②自動入札オークション──超直前・自由度高くテレビを買う
「自動入札オークション」は、名前からしてかなりデジタル寄りですよね。
これは簡単に言うと、
『オークション枠が発生するたびにリアルタイムビディング※をして、落札できた枠にだけCMを流す商品』
だね。
※リアルタイムビディング=広告枠のインプレッションが発生するたびに入札を行い、配信する広告を決定する仕組み
例えばA社が入札単価7円で設定して、B社が6.5円、C社が6.8円だったら、一番入札単価が高いA社が落札できるということかしらね。
うん。ファーストプライスオークション(最も高い入札をした人が、その入札額を支払って落札する」という仕組み)だから、「自分で設定した単価 × 獲得インプレッション」が請求額になる。
特徴はこんな感じ。
- 放送数分前まで発注OK:オークションチャンスに即参加
- 予算・入札単価・時間帯などを途中で変更・キャンセル可能
- 将来的には“モーメントターゲティング”(天気・気温・出演者など)にも対応予定
「今日は急に暑くなったから、冷感コスメのCMを夕方ワイドにだけ強めに出す」みたいなこともできるわけ
そうそう。瞬間瞬間のコンディションに合わせてテレビCMを打てるのが、自動入札オークションの醍醐味。
スグリーの最低出稿金額と「お試しテレビ」の現実感
予算はどのくらいから可能なのかしら?
うん、ここは提案時に必ず押さえたいポイントだよね。
- インプレッション予約:200万円〜
- 自動入札オークション:5万円〜(別途、フロアプライス単価あり)
5万円からテレビCM…!
これは「まずはスモールテスト」案件に差し込みやすいですね。
そう。「テレビは数千万から」みたいなイメージを壊す意味でも、まず50〜100万円だけスグリーでテレビを打つというのはかなり現実的になってきている。
スグリーはどんな案件に向いてる?事例から見える「使い方」
どんな時に使うのが良いのかしら?
ざっくり3パターンに整理できるかな。
①「直前発注」が必要な案件
- アーティストのプロモーション事例
- 出稿決定が直前だったが、インプレッション予約でOA9日前に発注→8日間で1,400万人リーチ
②テレビCMのポテンシャルを「まずは試したい」案件
- 金融や化粧品のプロモーションで、小ロットから実施
- 自動入札オークションで「特定番組狙い撃ち+CPM/リーチ単価の検証」
③CPAやアプリDLなど「下流KPI」まで追う案件
- AdRM-Exchangeと組み合わせて、LP流入・検索数・購入・アプリ初回起動などを計測
- コスメECで購入CPA500円以下(単価9,000円程度)を達成したケースも
まずスグリーで検証→うまくいった枠や時間帯をもとに次回スポットも含めた本格展開っていう流れが見えますね。
そう。スグリーはテレビ投資のテストマーケティングとしても機能する。
まとめ
今まで説明した内容を整理するとこんな感じになるよ。
- 日テレ発のWebサービスで、テレビ広告を「スグ買える・スグ変えられる・スグ分かる」ようにするプラットフォーム
- インプレッション&CPMで取引するから、デジタル広告と同じ指標で比較・最適化できる
- シミュレーション/直前発注/20分前までのクリエイティブ差し替え/15分後レポートで、テレビでもPDCAを高速回転
- 商品はインプレッション予約(安定型)と自動入札オークション(運用型)の2本立て
- 最低出稿金額は予約200万円〜、オークション5万円〜で、“お試しテレビ”もしやすい
夢だったテレビCMが身近に感じられるわ。
早速実施しようかしら!
広子くんの会社、CM素材は持ってたっけ?
あっ…
急いで作らなきゃ!
