登場人物

広子(ひろこ)
右も左も分からぬまま、中小以上大手未満メーカーの広告宣伝部署に 配属となった令嬢。物おじしない男勝りの性格ながら 広告の知識はゼロ。密かに告へ想いを寄せる。

告(つげる)
広告の表も裏も知り尽くした伝説のアドマン。 ブランディングやセールスプロモーションのノウハウに 長けるが、自分の好意を相手に告げるのは苦手。
目次
なぜ今、採用活動に「ブランディング」が必要なのか
告さん!求人サイトに掲載しても全然応募が来ないからってWeb広告を出しているんですが、獲得単価(CPA)がどんどん上がってしまって……正直、限界を感じています。
なるほど、それは多くの企業が直面している『Web採用の壁』だね。今のやり方は、いわば『今すぐ転職したい人』を競合他社と奪い合っている状態。そこで必要になるのが、『採用ブランディング』という考え方だよ。
ブランディング、ですか?
なんとなく『有名になること』というイメージですが、ウチのような中小企業にはハードルが高い気がして……。
いやいや、単に知名度を上げるだけがブランディングではないんだよ。
採用におけるブランディングとは、『自社の社風に合う人に、自社を好きになってもらう活動』のこと。
実はこれ、Web広告だけでは届かない層にアプローチするために、非常に重要な戦略なんだよ。
Web広告だけでは届かない「潜在層」へのアプローチ
Web広告だけでは届かない層、とはどういうことでしょう?
Web広告や検索エンジンを使うのは、基本的に『転職活動を始めた人』だよね? つまり顕在層。
でも、世の中には『良い会社があれば転職してもいいかな』と考えている『潜在層』がもっとたくさんいるんだ。
あ、確かに! 自分も『いい話があれば聞きたい』くらいの温度感の時はありますw
そう!そういった『まだ検索行動をしていない人』に種まきをするのに、テレビやラジオといったCM(マス広告)が非常に有効なんです。
日常の中で自然と目や耳にすることで、『あ、この会社知ってる』という状態を作れるのが最大の強みだね。

条件競争からの脱却と「選ばれる理由」の創出
なるほど、母集団を広げるという意味ですね。
でも、結局は給料が高い会社に行っちゃうんじゃないですか?
そこが重要なポイントだね。
給与や待遇といった『スペック』だけで勝負すると、どうしても資金力のある大手には勝てない。いわゆるスペック競争の泥沼。
耳が痛いです……。まさにその泥沼にハマっています。
だからこそCMなんだ。映像や音声で会社の雰囲気や熱量を伝えることで、『給料は他社と同じくらいだけど、この会社の雰囲気が好き』という『情緒的な価値』で選んでもらえるようになる。
これが採用ブランディングのゴールであり、結果的に採用コストを下げることにも繋がるんだ。
【ラジオCM】地域と生活に溶け込み「親近感」を醸成する
前回のお話で、Web以外の『種まき』が必要なのは分かりました。でも……今どき『ラジオ』ですか? 正直、みんな聴いているんでしょうか?
そう思うのも無理はないよね。
でも、みんなが『古いメディアだ』と思ってスルーしている今こそ、実はチャンスなんだ。
ラジオは『聴覚』だけに訴えかけるメディアだよね?
リスナーとの距離がすごく近いから、まるで友達に話しかけられているような『親近感』を作るには、これ以上ない媒体なんだよ。
親近感、ですか。確かにラジオDJの話って、なんだか身近に感じますもんね。
ドライバーや地元層など特定ターゲットへのリーチ
だよね? それに、ラジオには他にはない強みがある。それは『ながら聴き』だ。
営業車のドライバー、トラックの運転手、家事をしている主婦層……。みんな手は動かしているけど、耳は空いているよね?
スマホやPCの画面を見られない人にアプローチできるのは、ラジオならではの特権なんだ。
あ! 言われてみれば、社用車に乗った時、オーディオがデフォルトでラジオに設定されてました!
そうそう、そういうこと。それにラジオは地域密着型だから、その街で暮らす人、働く人にピンポイントで声を届けられる。地元採用や、Uターン・Iターンを狙いたいなら、すごく効率の良い『求人票』代わりになるはずだよ。
低コストでの反復訴求と刷り込み効果(ソニックブランディング)
でも、やっぱりCMを作るとなると、お金がかかるんじゃ……。ウチのような中小企業でも手が出せますか?
そこも心配いらない。テレビCMに比べれば、制作費も放映費もかなり抑えられるから、スタートアップや中小企業でも十分に手が届く金額感だよ。 それに、ラジオで大事なのは『ソニックブランディング』っていう考え方なんだ。
ソニック……ブランディング? 初めて聞く言葉です。
難しく聞こえるけど、要は『音の刷り込み』のことさ。 『♪〜〇〇なら、××建設』みたいなメロディ、つい口ずさんじゃうことないか? 人間、何度も耳にする音は無意識に覚えちゃうんだよ。
いざ転職しようと思った時に、『あ、あのラジオでよく聞く会社か』って思い出してもらえる。この『記憶の第一想起』を取るために、ラジオはすごく頼りになる武器になるんだ。
【テレビCM】圧倒的な「信頼」を獲得し企業の格を上げる
ラジオの良さは分かりました。でも、やっぱり『テレビCM』って憧れがあるんですよね。ただ、さすがにハードルが高すぎて……。正直、そこまでやる意味あるのかなって思っちゃいます。
確かに費用はかかるけど、テレビには他には絶対に真似できない圧倒的なパワーがあるんだ。それは『社会的な信頼』を一気に獲得できることだよ。 『視覚』と『聴覚』の両方で情報を伝えられるのはもちろんだけど、何より『テレビで流れている』という事実そのものが、企業の格(ブランド)を引き上げてくれるんだ。
企業の信頼性向上と「親ブロック」の防止
企業の格、ですか。でもそれって、採用に直接関係あるんでしょうか?
大アリだよ。特に新卒や若手の採用でよくある『親ブロック』って言葉、聞いたことあるだろ?
うっ、あります……。内定を出した後に『親に反対されたので辞退します』って言われるやつですね。あれは本当に心が折れます……。
だよね。親御さんからすれば、聞いたこともない会社に子供が入るのは不安なんだよ。でも、そこで『あ、この前テレビCMで見た会社ね!』となれば話は別だ。 『CMをやっている=ちゃんとした会社』という安心感は、今でも絶大なんだよ。テレビCMは求職者本人だけじゃなく、その背後にいる家族を説得するための『最強の援護射撃』になるってわけだ。
インナーブランディングによる社員のモチベーション向上
なるほど、家族へのアピールまでは考えていませんでした! 外向けの信頼獲得には確かに強そうですね。
それだけじゃないぞ。実は、もっと身近な人たち……つまり『今働いている社員』にもすごく良い効果があるんだ。
社員に、ですか?
そう。自分の会社のCMがテレビで流れたら、やっぱり嬉しいでしょ? 『俺の会社、テレビに出てるんだぜ』って、家族や友達に自慢したくなる。 これが社員のモチベーションや帰属意識を高める『インナーブランディング』に繋がるんだ。
社員が会社に誇りを持てば、自然と知人を紹介する『リファラル採用』も活発になる。テレビCMは、外側と内側の両方から組織を強くする投資なんだよ。
マスメディアとWeb施策の相乗効果で採用フローを完成させる
よし! ラジオもテレビも効果があることは分かりました。さっそく予算を確保して、CMを流してみます!
おっと、ちょっと待ちたまえ。焦りは禁物だぞ。
CMを流すことはあくまで『スタート』だ。一番大事なのは、『CMで興味を持ってくれた人を、どうやって採用まで導くか』という導線設計なんだよ。
導線、ですか? CMを見てもらえれば、自然に応募が来るんじゃ……?
今の求職者はそんなに単純じゃないよ。
CMを見て『お、いい会社だな』と思ったら、次になにをすると思う? まず間違いなくスマホで『検索』をするはずだ。 そこで受け皿となるWebサイト(採用サイト)が魅力的じゃなかったり、情報が古かったりしたらどうなる? せっかくの興味も一瞬で冷めてしまうよな。
「指名検索」からWebへの着地をデザインする
ああっ、確かに……! 気になって検索したのに、サイトがショボいと『なんだ、大したことないな』ってガッカリします。
だよね? だから、CMは『Webとセット』で考えるのが鉄則なんだ。
これをマーケティング用語で『AISAS(アイサス)』モデルなんて言うけど、要は『CMで認知・興味(Attention/Interest)』を持たせて、『Webで検索・行動(Search/Action)』させる。
このリレーをスムーズにしなきゃいけない。
例えば、CMの最後に『詳しくは〇〇で検索!』と入れたり、CMの雰囲気に合わせた採用LP(ランディングページ)を用意したりするのが定石だね。
なるほど、CMは『打ちっぱなし』じゃダメってことですね。
その通り。それに、作ったCM素材はWeb広告や会社説明会の動画としても二次利用できる。 一度作った資産を使い倒して、Webとマスの相乗効果で採用フロー全体を強化する。これが賢いやり方さ。
まとめ:自社の課題に合わせて「メディア」を選び分けよう
告さん、今日は本当にありがとうございました。
Webだけで行き詰まっていた原因が、単なるテクニック不足じゃなくて、『認知と信頼の不足』だったんだって気付きました。
その気付きがあればもう大丈夫だ。 Web採用の限界を感じたら、まずは自社の課題がどこにあるかを見極めること。
そもそも知られていない(認知不足)なら、地域に浸透する『ラジオCM』
知られているけど応募が来ない、親に反対される(信頼不足)なら、格を上げる『テレビCM』
といった具合にね。両方やるのが理想だけど、予算に合わせて最適なメディアミックスを組めばいい。
自分たちだけで悩まずに、広い視野を持つことが大事ですね。
ああ。メディア選びは奥が深いから、自分たちだけで判断せずに、プロに相談してみるのも一つの手だ。 『ウチの会社なら、どっちが効くかな?』って気軽に聞いてみれば、意外な勝ち筋が見つかるかもしれないぞ。採用難の時代だからこそ、他社がやっていない『次の一手』を打っていこうじゃないか。
